今日は再びワシントン州のMt. Bakerへ。ここには無数のトレイルがありますが、今回選んだのはHeliotrope Ridge Trailという氷河のすぐそばまで行けるというコースです。Mt. Bakerのトレイルの中でも、人気の高いトレイルで、いつかは行って見たいと思っていたところでした。往復5時間、トレイルそのものはさほど難易度は高くないのですが、このコース、川を4つほど越えないといけないのです。
友達からは、「ひざくらいの深さの川を渡らないといけないから、ストックとウォーターシューズを持っていった方がよいよ。」とアドバイスを受けていました。ところが、別の友達からは、「そんなん必要ないよ。ちょっと上の方へ行けば石をポンポンと渡れる場所があるから。」。とりあえず車のトランクにストックとウォーターシューズを入れて、でかけました。
さて、駐車場へついてみると、予想外に寒いではありませんか。気温7℃。まわりの人々はダウンジャケットにニットの帽子をかぶったりしています。私はというと・・夏服~に薄手のジャージージャケットだけ。天気予報では昼間は25℃まで上がるとのことだったので、夏服で来てしまったのです。この時点で、仮に川があっても水が冷たそうだから、ウォーターシューズは使うことはないであろうと勝手に決めつけ、シューズはトランクにおきざりにしたまま、ハイキングをスタート。少し歩いているうちにほどなく体は温まっていき、夏服でも暑いとさえ感じるほどになりました。
そして噂に聞いていた川がでてきました。うぉーーー。思ったより恐そう。写真ではあまり恐そうに見えませんが、意外と迫力あるんです。

山の上に流れる川は、当然上流。石の上をポンポンと歩いて渡ろうにも、水面から顔を出している石が少ない上に、水の勢いが強くてあちこちでしぶきが上がっています。・・たじろぐ私たち。引き返そうか・・とまじめに考えました。一番浅そうで水の流れが弱くなっている場所はどこか・・右往左往して場所を見定めているだけで、軽く15分は無駄にしました。後から来たハイカーたちが渡っていく姿を確認してから、ようやくなんとか一つ目の川をクリア。一応私たちの履いているハイキングシューズは、深さ10cmほどの浅瀬なら歩いても靴の中に水が入らないようなウォータープルーフのシューズなので、1つ目の川は濡れずに渡りました。しかし、緊張しましたよ。川は侮れませんからね。
しばらく行くと、さらにすごい轟音が聞こえてくるではありませんか。2本目の川です。1つめの川よりは明らかに浅かったので、こちらは難なくクリア。

そして、ほどなく3つめの川が・・これ・・やばいじゃん・・。

多くのハイカーたちが恐怖を感じていたことは間違いありません。そこまでして氷河を見たいのか?川の石はこけが生えているものもあり、つるつるとすべりやすい状態です。ポンポンとジャンプするのは却って危険です。この日は前日に雨が降ったこともあり、水量は通常より多くなっていたようです。他のハイカーたちがどのようにして渡っていくかをしっかり見て、勇気を振り絞って渡りました。向こう岸に大きな岩があるので、それをめがけてしがみつくようにして渡ったところ、やはり両足ともザップリと水に使ってしまい、凍るように冷たい水が靴の中に入ってきました。あー、やっぱり友達の忠告を聞いてウォーターシューズ持ってくればよかった・・
けれどどうにか渡り終えて、一安心です。すれ違うハイカーたちからも、この3つ目の川が一番難関だから、これを過ぎれば後は楽だと教わりました。
4つ目の川にたどり着いた時には、経験値が上がっていたので、難なくクリア。

そして、その試練を乗り越えた者だけに与えられたご褒美は、目の前に広がる大きなコールマン氷河。これには圧倒されました。自然の力は恐ろしい。


私たちはこれを見ることがゴールでしたが、氷河をよく見ると、何か動くものが・・
「あ!人だーーー!」
ザイルとピッケルをかついでこの氷河の上を登ると言う過酷なことに挑戦しているすごい人たちがいたのです。

素晴らしい風景を堪能したら、一刻も早く下山です。というのも、午後になると気温が上がり、氷河の水が溶けて、あの川たちの水位が増すと聞いていたからです。
噂どおり、あの恐ろしい3本目の川は明らかに水が多くなっていました。この時点でかなり泣き入っています。でも渡らないとお家に帰れない・・・右往左往しているうちに、気が付くとTakaが対岸で手を振っているではありませんか・・運動神経が良くて足の長いTakaは、うまく浅瀬を見つけて往復共に靴に水が入ることもなく渡りきっていました。しかしTakaが選んだ場所は、流れがものすごくきつそうに見える場所で、ちょっと先は崖のような滝があります。間違って転んで流されでもしたら、滝の底へたたきつけられてもう帰ることはできそうにありません。そこで、私は多少深くても、滝からは少し距離のある、安全そうな場所を選びました。しかし安全そうに見えるこの場所は実はかなり深かったのです。目をつぶって片足を突っ込んだ拍子に水流で足がすくわれて、バランスを崩しました・・その結果・・・川にしりもちを付くような形で下半身がどっぷりと水につかってしまったのです。あまりの恐怖に腰が抜けたとはまさにこのこと。恐怖のあまり水の冷たさを感じことすらなく、このまま娘を置いて死にたくない・・という気持ちで必死に身体を引き上げることだけに集中しました。しかし、心のどこかで、しりもちをついてしまえば、おぼれることも流されることもないであろうという、変な安堵感もありました。複雑な思いの中、反対岸からTakaが腕をつかんで引き上げてくれて、ようやく対岸にたどりつきました。この時は、本当にTakaが神様のように見えました。こうして彼は命の恩人となりました。
対岸にたどり着いて、靴を脱いで靴下を絞れるだけ絞って・・なさけない~でも生きてて良かった~。
もうこのトレイルには二度と来ることはないでしょう。そこまでして氷河を見なくても、他にもいいところはたくさんあります。
帰りの道すがら、Takaは私の情けない姿を思い出して大笑いしていました。確かに、ほとんどの人が転ぶことなく渡りきっているのに、私は浸かってしまったわけですからねぇ・・・。まぁ、氷河が溶けた水のプールに浸かれるなんて、滅多にない体験です。しかし、人生の中で最も恐ろしい経験をした一日でした。
ちなみにTakaは今まで行ったハイキングの中で最も素晴らしく貴重な経験ができたと言っています。
さて、駐車場へついてみると、予想外に寒いではありませんか。気温7℃。まわりの人々はダウンジャケットにニットの帽子をかぶったりしています。私はというと・・夏服~に薄手のジャージージャケットだけ。天気予報では昼間は25℃まで上がるとのことだったので、夏服で来てしまったのです。この時点で、仮に川があっても水が冷たそうだから、ウォーターシューズは使うことはないであろうと勝手に決めつけ、シューズはトランクにおきざりにしたまま、ハイキングをスタート。少し歩いているうちにほどなく体は温まっていき、夏服でも暑いとさえ感じるほどになりました。
そして噂に聞いていた川がでてきました。うぉーーー。思ったより恐そう。写真ではあまり恐そうに見えませんが、意外と迫力あるんです。

山の上に流れる川は、当然上流。石の上をポンポンと歩いて渡ろうにも、水面から顔を出している石が少ない上に、水の勢いが強くてあちこちでしぶきが上がっています。・・たじろぐ私たち。引き返そうか・・とまじめに考えました。一番浅そうで水の流れが弱くなっている場所はどこか・・右往左往して場所を見定めているだけで、軽く15分は無駄にしました。後から来たハイカーたちが渡っていく姿を確認してから、ようやくなんとか一つ目の川をクリア。一応私たちの履いているハイキングシューズは、深さ10cmほどの浅瀬なら歩いても靴の中に水が入らないようなウォータープルーフのシューズなので、1つ目の川は濡れずに渡りました。しかし、緊張しましたよ。川は侮れませんからね。
しばらく行くと、さらにすごい轟音が聞こえてくるではありませんか。2本目の川です。1つめの川よりは明らかに浅かったので、こちらは難なくクリア。

そして、ほどなく3つめの川が・・これ・・やばいじゃん・・。

多くのハイカーたちが恐怖を感じていたことは間違いありません。そこまでして氷河を見たいのか?川の石はこけが生えているものもあり、つるつるとすべりやすい状態です。ポンポンとジャンプするのは却って危険です。この日は前日に雨が降ったこともあり、水量は通常より多くなっていたようです。他のハイカーたちがどのようにして渡っていくかをしっかり見て、勇気を振り絞って渡りました。向こう岸に大きな岩があるので、それをめがけてしがみつくようにして渡ったところ、やはり両足ともザップリと水に使ってしまい、凍るように冷たい水が靴の中に入ってきました。あー、やっぱり友達の忠告を聞いてウォーターシューズ持ってくればよかった・・
けれどどうにか渡り終えて、一安心です。すれ違うハイカーたちからも、この3つ目の川が一番難関だから、これを過ぎれば後は楽だと教わりました。
4つ目の川にたどり着いた時には、経験値が上がっていたので、難なくクリア。

そして、その試練を乗り越えた者だけに与えられたご褒美は、目の前に広がる大きなコールマン氷河。これには圧倒されました。自然の力は恐ろしい。


私たちはこれを見ることがゴールでしたが、氷河をよく見ると、何か動くものが・・
「あ!人だーーー!」
ザイルとピッケルをかついでこの氷河の上を登ると言う過酷なことに挑戦しているすごい人たちがいたのです。

素晴らしい風景を堪能したら、一刻も早く下山です。というのも、午後になると気温が上がり、氷河の水が溶けて、あの川たちの水位が増すと聞いていたからです。
噂どおり、あの恐ろしい3本目の川は明らかに水が多くなっていました。この時点でかなり泣き入っています。でも渡らないとお家に帰れない・・・右往左往しているうちに、気が付くとTakaが対岸で手を振っているではありませんか・・運動神経が良くて足の長いTakaは、うまく浅瀬を見つけて往復共に靴に水が入ることもなく渡りきっていました。しかしTakaが選んだ場所は、流れがものすごくきつそうに見える場所で、ちょっと先は崖のような滝があります。間違って転んで流されでもしたら、滝の底へたたきつけられてもう帰ることはできそうにありません。そこで、私は多少深くても、滝からは少し距離のある、安全そうな場所を選びました。しかし安全そうに見えるこの場所は実はかなり深かったのです。目をつぶって片足を突っ込んだ拍子に水流で足がすくわれて、バランスを崩しました・・その結果・・・川にしりもちを付くような形で下半身がどっぷりと水につかってしまったのです。あまりの恐怖に腰が抜けたとはまさにこのこと。恐怖のあまり水の冷たさを感じことすらなく、このまま娘を置いて死にたくない・・という気持ちで必死に身体を引き上げることだけに集中しました。しかし、心のどこかで、しりもちをついてしまえば、おぼれることも流されることもないであろうという、変な安堵感もありました。複雑な思いの中、反対岸からTakaが腕をつかんで引き上げてくれて、ようやく対岸にたどりつきました。この時は、本当にTakaが神様のように見えました。こうして彼は命の恩人となりました。
対岸にたどり着いて、靴を脱いで靴下を絞れるだけ絞って・・なさけない~でも生きてて良かった~。
もうこのトレイルには二度と来ることはないでしょう。そこまでして氷河を見なくても、他にもいいところはたくさんあります。
帰りの道すがら、Takaは私の情けない姿を思い出して大笑いしていました。確かに、ほとんどの人が転ぶことなく渡りきっているのに、私は浸かってしまったわけですからねぇ・・・。まぁ、氷河が溶けた水のプールに浸かれるなんて、滅多にない体験です。しかし、人生の中で最も恐ろしい経験をした一日でした。
ちなみにTakaは今まで行ったハイキングの中で最も素晴らしく貴重な経験ができたと言っています。
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